[個人出版] 印刷書籍出版の悩み

ふと思い出したが、私は子どもの頃文章を書くことを職業としたいと思っていた。でも「物書きは食えない」などという浅知恵を当時は知ってたので、一瞬で諦めていた。しかし気が付けば現在は物を書く生活をするようになった。ブログを毎日更新したり、個人出版もしている。

本を出すなら出版社に持ち込むしかないというのがかつての常識だったが、現在は誰でも比較的簡単に個人出版ができるいい時代になった。

一介の物書きとして、出版社を通じた商業出版を夢見る・・・などということは私はあまりない。たとえば講談社あたりから「うちで本を出さないか」と声を掛けられたとしても断るだろう。私は個人出版が好きなのだ。編集者やらの他者に介入されることなく、自由に文章を書きたいからだ。

さて、個人出版はたしかに容易にできる時代になったが、しかしそれは電子書籍に限る話である。印刷書籍(=紙の書籍)となると、途端にハードルが上がる。ここで言っているのは「売ること」を想定した書籍の話だ。電子書籍や印刷書籍を単に用意するだけなら、以前から簡単にできた。しかし普通の個人が、コストを掛けず、他の商業出版と張り合うステータスを勝ち取るのはまだまだ難しい。

電子書籍なら可能だ。そして実質、電子書籍を出すなら Amazon Kindle 一択だ。無料で出版できるし、信頼できる Amazon のプラットフォームのおかげで、質の高いコンテンツを用意して、マーケティングもしっかりやれば、うまくいけば結構売れる本を作れるだろう。本を出したいという人がいたら、間違いなく Kindle 出版を勧めたい。

では印刷書籍はどうか。昔ながらの何百万円と掛けて印刷する自費出版は普通の人はできない。そこで希望となるのがオンデマンド出版だ。著者は印刷用データを用意し、アップロード。そして注文があってから印刷されるので在庫コストもない。印刷、発送等が絡むので電子書籍よりは自分に入るお金は少ないが、それでも印刷書籍を気軽に出せることは大きい。

印刷書籍はまず、物としての作品ができることで作り手としては嬉しい。デジタルデータの電子書籍では味気ないし、自分の本であるという実感も多少薄い。紙の本があると「本を出したぜ」という気分になれる。

そんな気分なんていらないという人もいるだろう。ただ電子書籍よりも印刷された方がいい本もある。教科書系、マニュアル系、大きな図表を多用したもの、辞書系などだ。そして私が出している本にもそういう本がある。

オンデマンド出版は需要があるはずなのに、不思議なことに日本ではまだそういうサービスを提供する印刷会社や出版社が少ない。著者に適切な書籍データを用意させるのが難しいからかなあ。そういうサービスを私が立ち上げちゃおうかなと一瞬思ったこともある。

でも海外だといろいろある。私が最初に本を書いたのは9年ほど前の大学院生の時だったけど、その時は1冊単位で安く印刷できるサービスが日本にはなく、アメリカの CreateSpace や Lulu といったサービスを使って印刷していた。CreateSpace はアメリカの税金設定があったりして厄介なのですぐ使うのをやめたが、Lulu は今でも使っている。印刷データを PDF でアップロードすればすぐに出版できる。Lulu のサイトだけでなく世界の Amazon で出版できる。ただ Amazon への出版は自由度が低いので結局 Lulu 内でだけ売っている。それでも、日本への送料を含めても結構安く印刷できる。私は本を出したら自分用に Lulu で印刷書籍を注文する。

CreateSpace
www.createspace.com/

Online Self Publishing Book & eBook Company – Lulu
www.lulu.com/

最近、改めて印刷書籍での出版に本腰を入れる気になった。目標は Amazon での出版だ。「売れる本」を作ることを考えたら、やはり Amazon で売りたい。Lulu では売れません。日本での認知度はゼロだし、そういうよく知らないサイトでクレジットカードを使うような日本人はまずいない。自己満足として本を出すことを越えて、売るための本を作りたいと思うようになったんだ。電子書籍はこれまで通り Kindle での出版を続ければいい。

そこで改めて現在のオンデマンド出版の状況を調べてみた。重視するのは以下の点だ。

・コストが掛らないこと。できれば無料。
・改訂が簡単にできること。
・Amazon で出版できること。
・最低でも販売価格の1割のマージンがあること。
・オンデマンド出版であること。

すると、私がすでに使っているものも含めて、5つの有力候補があった。

(1)MyISBN

MyISBN は登場した際話題になっていたのを記憶している。書籍に ISBN を振られて、Amazon で出版できることが売りだ。

ただ 4980 円掛かる。改訂にも 4500 円掛かる。私は著書をよく改訂するので(そこが個人出版の魅力だと思っている)、改訂のたびにお金が掛かるのは困る。

たった4,980円の費用で紙の本を出版!印刷費・維持費・在庫負担ゼロでAmazonで販売できます|MyISBN
myisbn.jp/

(2)Lulu

出版は無料。日本への発送も比較的安いし、時々送料無料キャンペーンもやっている(公式 Twitter で発表される)。

ただ、Amazon への出品がちょっと不安要素がある。

Lulu のサイト内で販売するのは問題ないが、日本から買ってもらえる可能性は低い。

自分用に印刷したり、人に配ったりする、印刷サービスとして使うにはいい。

Online Self Publishing Book & eBook Company – Lulu
www.lulu.com/

(3)Amazon FBA

これはトリッキーな方法だけど、あまり知られていないので紹介したい。Amazon のマーケットプレイスで出品し、さらに商品を Amazon に預ければ、Amazon で好きな商品を販売できる。これが Amazon FBA だ。Amazon FBA のうち大口出品者の場合(私もそうだ)、新規商品を Amazon に登録できる。そう、自分の書籍を新規登録して、販売すればいいわけだ。これなら Amazon で自分の本を売れる。

ただし、これは販売スペースが用意されるだけであり、印刷は自分でしなければいけない(自分で印刷書籍を用意する)。印刷コスト、Amazon への配送コストがかかるし、在庫リスクもある。Amazon で売ることができること以外は、過去の自費出版と変わらない。

フルフィルメント by Amazon(FBA) – Amazon.co.jp
services.amazon.co.jp/services/fulfillment-by-amazon.html

(4)製本直送「どこでも出版」

製本直送はもともと印刷会社のようだが、個人出版でも使えるようになっており「どこでも出版」と呼ばれている。原稿の PDF をアップすれば無料で販売できる。改訂も簡単だ。1冊単位で比較的安く販売できる。

私も製本直送のどこでも出版を利用して本を販売しているが、問題は販売プラットフォームが製本直送であること。購入ボタンを自分のサイトに設置したりできるが、結局製本直送のサイトに飛ぶ。製本直送を知らない人も多いだろうから、よく分からないサイトで購入に踏み切る人は少ないはず。Amazon で販売するようなインパクトがない。逆に言えば、製本直送が Amazon での販売もできるようになったら最高だ。

どこでも出版(オンデマンド販売サービス) / 製本直送.com | 1冊から注文OK。安さと高品質のオンデマンド印刷
www.seichoku.com/user_data/publish_button_std.php

(5)NextPublishing

1〜4すべての問題点を解決するのが NextPublishing だ(と、最初は思った)。

NextPublishing は基本無料で Amazon に出版できる。実際、Amazon で NextPublishing を利用したオンデマンド印刷の本を見かけることが増えたし、いくつかそういう本を買ったことがある。データを PDF でアップロードし、しばらくすると Amazon へ印刷書籍が並ぶのだ。Lulu と同じ要領で Amazon でお手軽に出版できる!

ただ問題は書籍の修正だ。修正には 5000 円の費用が掛かるし、ページ数の変更ができない。ちょこっとした変更に 5000 円も掛かるわけだ。

既存書籍の変更ではなく、改訂版の新規出品方法もできる。これなら無料で新バージョンを出版できる。しかし、Amazon の仕様で旧バージョンの販売ページを削除できない(販売の停止だけはできる)。購入者にとっては同一タイトルの本が複数あったら混乱するので「改訂版」とタイトルの頭に付けたりして対処するしかないが、これもスマートじゃない。

電子書籍とプリントオンデマンド(POD) | NextPublishing(ネクストパブリッシング)
nextpublishing.jp/

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以上のようなことを考えると、完璧ではないけど、とりあえず NextPublishing かなと思う。改訂版をよく出す私は改訂のたびに v1.1、v1.2・・・のようにタイトル末尾に付けようか。購入者は混乱するかもしれないが、自分の公式サイトや Twitter で説明したりしよう。

それに実際に使ってみないとまだ分からない。とりあえず NextPublishing のアカウントだけ作ったので、実際に出版する作業もやってみよう。

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