[読書メモ]『大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件』

p1
長いあいだモノクロだったぼくの世界に
きみが来た日から色がついた
どうかいつまでも、ぼくのそばにいてほしい

p3
ヒトは美しいものを見ることへの欲望を抑えられない
そしてそれを所有せずにはいられない

pp15-16
携帯電話は車のトランクに残し、着信音も通知音もバッテリーが切れるまで勝手に鳴らせておく。アーモンドを数粒ポケットにしのばせて、空腹になったら口に含める。のどが乾いたら川の水を飲む。天気がよければ8時間ぶっとおしで川で過ごし、ほかの人間をまったく見かけないこともよくあった。釣りだけが、私の人生に吹き荒れていたストレスの嵐を鎮めてくれた。

p26
鉄道の到来はその状況をがらりと変え、イギリスの都会で働きづめだった市民は手軽に一時脱出する手段を得た。「両手を暇にしていると、よからぬことをやりかねない」という聖書の教えのもと、ヴィクトリア時代の人びとは望ましい休暇の過ごし方として、動物、植物、鉱物の標本収集に励んだ。

p33
たいていの場合、海軍の船にはナチュラリストが同乗していた。

p35
いつも手に携(たずさ)えていたのは 800 ページのぶ厚い本だった。

p59
考えてみれば奇妙なことだが、雄鳥の鮮やかな羽は雌鳥を引きつけるために進化したものだというのに、ヒトでは社会的地位の高い男性を引きつけるために女性が雄鳥の羽を身につけた。

p71
インターネットの登場は、かつて小さなグループで散在していた趣味人を、国境を越えて結びつけた。

p85
ホームスクーリング(自宅教育)

p87
何事も思い立ったら突進する性格

p90
こいつらはただの子どもじゃない。本格的に毛針作りをやっている。

p94
そのとき彼は、ヴィクトリア時代の毛針制作者と心が通い合ったような気がした。1世紀前の本に書かれているルールに従い、1世紀前からほとんど変わっていない道具を使いながら毛針を作る作業は、時代を超越している気分にさせられた。

p99
アルゴスは 100 個の目を持つ巨人で、多数の目を交代で休ませるため、いかなるときも眠らないとされている[。]

p106
エドウィンは何かを成し遂げるのなら最上位でなければ意味がないと思っていた。

p112
どんなものでも食べます(マクドナルドのような気色悪いものでないかぎり)。あと、食べる量は多いです……なにしろぼくは、まだ学生で、というより、年中腹ぺこな学生ですので[。]

p132
アダムズは、重要なものをすべて1か所に集めることのデメリットを承知していた。たとえば火災が起きたとき、一度にすべてを失うことになる。しかし彼は、「保護と監視を強化するエリアを絞る」ことのメリットを考えて、1か所に集める方策を採用した。

p165
尋問の最中、1匹のハエがダクトからアデルのノートの上にぽとりと落ちてきた。
「あら、ハエだわ」と彼女は声を上げ、ノートから振りはらった。ハエはテーブルの反対側に飛んで、エドウィンの近くにとまった。エドウィンは飲み水をいれたコップをハエの上にすばやくかぶせて捕獲した。

p190
「今回の件はわれわれにとって、たいへん前向きな結果となり、犯罪で金を稼ぐことがいかに割に合わないかを如実に表すメッセージとなりました」

p204
「ぼくらは結束力のあるコミュニティです」彼は私の目を覗きこむようにして答えた。「そんなぼくらを怒らせて、いいことなんてありませんよ」

p204
冷笑か、驚いたふりをするだけの見え透いた反応だった。

p205
「そういや、血の気のあるやつらが騒いでたな」マクレーンはくすりと笑ってリラックスした。「口を利けないようにしてやるとか、イーストリバーに投げ入れてやるとか、言ってたぞ」

p213
こうした標本を保存することは、時代を越えて人間性を信頼することなのだ。代々のキュレターたちはこのコレクションが人類全体の知識向上に不可欠であるという信念のもと、害虫、日光、ドイツ軍の爆撃、火事、盗難などから連綿と守ってきた。そして彼らは、現段階ではまだ浮上すらしていない疑問についても、この鳥たちが未来のどこかで答えてくれると知っている。

pp223-224
警官が警官のやるべきことをやったら、つぎは検察局がやるべきことをやり……そのあとは法律家どうしの駆け引きで、私のかかわる余地はありません。

p231
「いずれにせよ、すべては絶滅するんです」
「しかし、それはただのニヒリズムではないでしょうか」

pp223-224
2つ折りフォルダー

p251
インターネット上の人格だけで現実の人格を推測していいのだろうか。

p255
黒幕に利用された捨て駒

p260
彼女のまぶたは半分下がっていたが、なんとか起きていようと努力していた。

p308
<イーベイ>は違法販売を「禁止して」きたのではない。禁止する「姿勢を示して」きただけだ。

p333
私はこの本を書くまで、多くの人と同様、インターネットにアップされたものは消えないと思っていたが、その考えが無邪気であったことを思い知らされた。この調査は最初から最後まで、時間との闘い、もっと正確に言えば削除(デリート)キーとの闘いだった。

p338
ジョンソンが研究室にやってきたとき、「何年も前から、あなたのような人が現れるのを待っていました」とプラムが語るくだりは、本書の読みどころのひとつとなっている。

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